病気を知ろう!
おしっこの話? タンパク尿と言われたら!
慢性腎臓病になると腎不全(透析)のみならず、心筋梗塞、脳卒中などの発症や死亡の危険性が高くなります。そのため、慢性腎臓病を早期に見つけることが重要です。
慢性腎臓病の原因は、主に慢性腎炎や糖尿病、高血圧などがありますが、その他にも色々な原因があります。
慢性腎臓病の診断には、尿検査(蛋白尿や血尿など)と血清クレアチニン値の両方が必要です。多くの場合、慢性腎臓病では自覚症状が透析の直前まで出にくいため、早期発見には検診での尿検査が欠かせません。また、検尿により泌尿器疾患(腎臓や尿管、膀胱、前立腺の癌や結石など)の発見につながることもあります。さらに、尿検査は慢性腎臓病の早期発見のみならず、治療がうまくいっているかどうかの判断にも役立ちます。治療の経過が良い時は、蛋白尿が減少します。検尿は簡単で安価な検査ですが、とても大切な検査です。
特に毎年検尿で異常が出ている方は要注意です。自覚症状がないからといって放置しないようにしましょう。
血液透析とは?
血液透析は、ポンプで血液を体の外に出し、「ダイアライザー」と呼ばれる透析器に血液を流すことで、身体にたまった余分な水分や毒素を除去する治療法です。きれいになった血液は再び体内に戻します。
治療は1回に4~6時間、週に3回、病院で行います。透析中はベッドに横になるか座った状態で過ごします。透析に必要な血流を得るために「シャント」手術を行います。手首あるいは肘付近で動脈と静脈をつなぐことにより、動脈の血液を静脈に流します。こうすることで、簡単に透析に必要な十分量の血液を得ることができるようになります。
慢性腎不全の治療として日本で一番普及している治療法です。当院では超純水を使用し、最新の機械で作成した安全な透析液を使用しています。
腹膜透析とは?
血液透析では血液を体外に取り出して血液の浄化を行いますが、腹膜透析では胃や腸の周りにあるすき間に透析液を注入し、一定時間ためている間に血液中の尿毒素や水分・塩分を透析液へ移動させることで血液から不要な物質を取り除きます。十分に移動した時点で透析液を体外に取り出すことで、体内からこれらが除去できます。透析液を入れる時には透析液の入ったバッグを高いところに、出す時には空のバッグを低いところに置き、自然の落差を利用して透析液の交換をします。
透析液の交換は通常1日3〜4回(朝、昼、夕、寝る前など)行われますが、人によっては1〜2回で済むこともあります。1回の交換時間は約30分です。日中の交換をなくし、夜寝ている間に機械を使って透析液の交換を自動で行う方法もあります。
腹膜透析は血液透析と異なり血液を扱うことはありません。太い針を刺すこともありませんので痛みもありません。血液透析の際のような透析中のきつさや血圧の低下、筋肉のけいれんなどもほとんど生じませんので、とても楽に透析ができます。通院回数も月1〜2回で済みます。透析液さえあればどこへでも出かけることができますし、お腹に透析液を入れたままで職場や学校へ普通に通うことができますので、行動に制限があまりありません。透析液は国内だけでなく海外へも手配できますので、国内のみならず海外へも旅行が可能です。
一方で、血液透析と異なり自分で治療を行わなければなりませんので、責任も重大です。決してさぼってはいけません。それに、操作法を間違ってお腹にバイ菌が入ってしまうと、腹膜炎にもなります。ただし、最近ではお腹へ透析液を出し入れする管と透析液のバッグを自動でつないだり外したりする装置も開発されているため、とても簡単に操作ができます。以前は、長年腹膜透析を行なっていると透析液に対してお腹が異常に反応し、腹膜がダメージを受けることがありました。しかし、最近では透析液が改良され、このようなことは少なくなりました。
医療費については血液透析の時と同じく、さまざまな公的補助が受けられるため、負担は変わりません。治療に必要な機械類も保険でまかなわれます。
多発性嚢胞腎とは?
多発性のう胞腎とは、両側の腎臓に多数の水の入った袋(のう胞)が発生する遺伝性の腎臓病です。腎臓以外にも肝のう胞や脳動脈瘤など、様々な臓器に障害が生じることが知られています。子供の頃は症状がありませんが、20~30歳代以降になると腎のう胞が少しずつ大きくなってきます。そうなると腎機能も次第に低下するため、進行すれば人工透析を受けなければならなくなります。60歳頃までに約50%の方が腎不全になるといわれています。
この病気の頻度は約4,000人に1人と言われており、日本には約31,000人いると推測されています。両親のいずれかがこの病気の場合、2分の1の確率で子供に遺伝します。
これまでこの病気に対して有効な薬はあまりなかったのですが、V2受容体拮抗薬のトルバプタン(商品名:サムスカ)という薬が登場し、腎のう胞が大きくなるのや腎機能が低下するのを抑制する効果が期待されています。2015年1月より多発性嚢胞腎は医療費助成対象疾病(指定難病)になり、医療費の補助を受けることができるようになりました。